30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

ブログタイトル

【いのちの電話相談】研修だけでボランティアが相談員になるのは無理がある

はじめに

テレビで有名人の訃報があった時に、

生きるのがつらくなった時の相談窓口として

「いのちの電話相談」をよく見かけます。

 

実は、ここの相談員はプロではなく、

ボランティアが行っていることはご存じでしょうか。

 

社会福祉士の私において、命に関わる相談を

ボランティアが行うのは、かなりハードルが高いものだと思います。

 

今回は「いのちの電話相談」について取り上げていきます。

 

いのちの電話とは

いのちの電話(厚生省ホームページより)


いのちの電話というのは、1953年イギリスで

「サマリタンズ」という慈善団体が自殺予防のために、

電話相談を始めたのが起源にあります。

 

キリスト教にルーツを持つ「いのちの電話」ですが、次第に

その活動が世界各地に広がっていきました。

 

そして、1971年、東京でも「いのちの電話」がスタートし、

1973年には社会福祉法人として認可されます。

 

2020年現在、全国各地に50センターがあり、

約6,000名の相談員が活動しています。

 

ボランティア相談員について

どんな人が相談員になれるのでしょうか。

 

2022年の募集要項をみてみました。

相談員募集 | 東京いのちの電話 (indt.jp)

 

条件としては、

①22歳~65歳の人

②心身ともに健康な方

③いのちの電話の相談員としての意欲がある方

この3つになっています。

 

希望者は、書類審査、面接を受ける必要があります。

選考通過後、約1年かけて講習(有料)受けたのち、

実際に活動に参加することになります。

 

活動内容は傾聴することがメインのようですが、

電話だけでなく、メールでの相談も行っているようです。

 

24時間年中無休、深夜対応もありますが、

ボランティア活動なので、相談員に報酬は支払われません。

 

研修だけで相談員になれるわけがない

基本、いのちの電話の相談員は相談業務の経験がなくても

応募できる内容になっています。

 

その代わりに、約1年半をかけて研修や合宿、グループ学習会などを行い、

相談スキルを取得するプログラムになっています。

 

しかし、1年半の研修プログラムだけでは、相談員として実践スキルを

身に着けるのは難しいです。

 

社会福祉士である自分だって、2年かけて社会福祉士を取ったのに、

約10年以上も相談職に就くことができないんですからね・・・

 

1年半で相談員になれたら、こんな苦労はしないです。

 

もともと相談スキルが高い人は別として、多くの場合、医療・福祉分野の

相談員になるには、社会福祉士や臨床心理士などの資格と合わせて

相談実務の経験を積む必要があります。

 

ちなみに、厚生省の自殺対策の相談窓口として紹介している

「ライフリンク(契約社員)」の募集事項では、社会福祉士などの資格を持った、

相談業務の経験がある人が条件にあげられています。

 

ボランティアが相談をする問題点

ネットで調べてみると、「いのちの電話」における

相談員の対応で問題がみられます。

 

例えば、何を相談したら分からず戸惑っている人に対して

相談員から「何もなければ切らせてもらっていいでしょうか」

というケースや、相談員から叱られるケースもみられました。

 

相談者は命を絶つ可能性があるため、

相談員の対応によっては、最悪のケースになる可能性があります。

 

つまり、「人を助けたい」というボランティア精神がかえって、

相談者を追い込んでしまうリスクもあるんです。

 

そのためにも、ボランティアが相談員になることに

ついては、運営側はもっと慎重に考えるべきだと思います。

 

最後に

毎年2万以上の自殺者がいる日本において、「いのちの電話相談」は

非常に意義のある活動です。

 

しかし、電話相談は非常に難しいことです。

約1年半の研修等で習得できるものではありません。

 

なので、「いのちの電話」の運営側、テレビで宣伝する人たちに、

この認識はあるかどうか疑問に感じます。

 

また、ハードな活動に対して報酬が支払われず、

ボランティアに研修費を負担させるのも、いかがなものかと思います。

 

正直、ボランティアの労力とお金が「ボランティア精神」という名のもとに

搾取されている印象さえ感じます。

 

人の命を扱う活動だからこそ、ボランティアの質、サポート体制を改善するためにも、

運営側、そして政府側も支援するべきです。

 

ちなみに、「いのちの電話」以外にも、電話相談窓口があります。

参考先:電話相談|自殺対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

・#いのちSOS

(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク)

0120-061-338 おもい ささえる(フリーダイヤル・無料)

月曜日、木曜日00:00~24:00、火曜日~水曜日、金曜日~日曜日8:00~24:00

 

よりそいホットライン

(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)

0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)

YouTuber・ヒカルの祭りくじ動画、本当の目的は正義と悪の二極化にある

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もう上半期も終わり、

暑い日がやって来そうですね。

 

暑い日と言えば「祭り」ということで、

今回はユーチュバー・ヒカルの祭りくじ動画を 

取り上げてみようと思います。

 

ヒカルの祭りくじ動画とは

数年前、ユーチューバーであるヒカルさんが

祭りのくじをひたすら買占め、

当たりがあるのか検証した動画が大きな話題となりました。

 

続編もあり、最新作では警察も巻き込むなど

その過激さが増しています。

 

その結果、物凄い再生数をたたき出し、

この動画をきっかけにヒカルさんの

知名度が上がっていきました。

 

ヒカルの行動について

 

この動画の目的は祭りでくじを全部買切って、

当たりがあるのか検証するのがテーマです。

 

結局、全部買切れずに終わりましたが、

何十万も出して引いたのに、全く当たりがない事実から

くじ屋の不正を訴えています。

 

その暴露によ子どもが搾取されていることを

皆が知ることができたと支持がある一方・・・

 

グレーなことだから、わざわざ善悪をつけることではないと

それぞれ賛否両論あります。 

 

この動画の本当の目的とは

ヒカルさんの動画は、

「当たりくじがないという不正を暴くため」と

ありますが、それは建前のような気がします。

 

だって、くじ屋に当たりがないというのは、

みんな思うことだし、疑うなら買わなければいいだけ

 

もし、当たる保証もないのに、

何十万もくじにお金を掛けるくらいなら、

普通に買った方が合理的ですしね。

 

ヒカルさんは頭が相当切れる方なので、

そんなことは分かるはず・・・

 

では、なぜそんなことをするのでしょうか。

 

そもそも、ヒカルさんはくじ屋の闇を

暴こうとはしていないんです。

 

ヒカルさんは

すべてのくじを買うことができていないですし、

もし、1つのくじ屋を買い占めて「当たりがない」と証明できても、

他のくじ屋も同じであるいうことはできません。

 

本気でくじ屋の闇を暴くには、相当なお金と労力が必要です。

他の目的があると考えたほうがいいでしょう。

 

では、本当の目的とは・・・

 

くじの中身を暴露することで、正義と悪を二極化させて、

視聴者を増やしたかったからです。

 

そして「正義は勝つ」という言葉があるように、

人は正義の方に流れやすく、

集団の中で悪を叩く傾向があります。

 

ご存知のように、ユーチューバーにとって、

視聴者の数が収入につながっているのは常識。

 

だから、ヒカルさんは「正義」、くじ屋は「悪」という

特撮ヒーローのような臨場感を見せる方法を使ったんです。 

 

しかし、ここで注意してほしいのは、

ヒカルさんは正義のヒーローとして演じているだけで、

偽りの「正義」だということ。

 

結局、ヒカルさんは「視聴者を集めたい」という単純な理由から

正義と悪の二極化という手法を取っただけなんですね。

 

正義のように振る舞い、悪を吊し上げる動画を

まともに受け取ると、ヒカルさんの思惑にハマってしまいます。

 

あくまで、ヒカルさんによるフィクション動画と、

思ってみるといいと思います。

洗濯物たたみロボットで人生の9000時間が節約できる代わりに失うもの

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今回のテーマは「洗濯物たたみ」です。

 

洗濯物たたみは家事の中でかなりの割合を

占めており、人生で9000時間も使っています!

 

今、この時間が節約できると期待の

洗濯物たたみを自動化するロボットが出てきました。

 

それが「ランドロイド」です。 

 

ランドロイドは、大きな冷蔵庫みたいな形をしていますが、 

仕組みはとてもシンプルです。

 

洗濯済みの乾いた衣類を

下の引き出しに入れてから、ダイヤルを回すだけで、

自動でたたみ、種類別で分けてくれます。

 

現在の価格は185万円と高く、

たたむ時間も長いなど

価格・機能的にも改善点が多いです。

 

しかし、将来的には低価格・高品質に

なって、一般家庭にも普及するかもしれません。

 

そうなれば、仕事と家事で忙しい人や、

身体が不自由な障害者・高齢者などにとって

役立つ家電になるでしょうね。

 

人の手で洗濯物たたみする良い点とは

ランドロイドに任せれば、

人生の9000時間を洗濯物たたみで使うことはありません。

 

9000時間も自由な時間を節約できるのは

すごく魅力的でしょう。

 

しかし、人の手で洗濯物を畳むのも

とても大切なんです!

 

わたしは高齢者デイで働いていますが、

利用者さんに「洗濯物たたみ」をお願いする事がよくあります。

 

きっと、他の高齢者施設でも

よくみかける光景かもしれません。

 

介護施設で洗濯物をたたむメリットは

・椅子に座りながらできる

・単純でわかりやすい

・身近で誰も経験した事がある

以上の3つがあげられます。

 

また、誰かが作業をやっていると、それを見た

他の利用者が手伝うこともあり、協力して

行うこともよくあります。

 

洗濯物たたみは時間のムダなのか

 

元気な若い世代にとって、洗濯物たたみは

ただの雑用で、時間の無駄と感じやすいかもしれません。

 

しかし、高齢者の洗濯物たたみを見ていると

その出来に、一人一人の人生が表れるので、

ムダではないと思います。

 

特に家事の経験が長かった女性高齢者は

早く、きれいに衣類を畳むので、

本当にスゴイです。

 

やはり、人生の9000時間をそれに費やしたから、

生活と作業がリンクしているのでしょう。

 

そういう意味で、人の手での洗濯物たたみは、

お年寄りになってから、価値が出てくるものと言えます。

 

逆を言えば、ロボットに任せれば、

高齢者と洗濯物たたみの関係性が絶たれ、

つまらない作業になるでしょう。

 

まとめ

 

自動洗濯物たたみ機「ランドロイド」が登場しましたが、

人の手で行うのも大切です。

 

バリバリに動ける人は、雑用だと感じると思うでしょう・・・

 

しかし、高齢者にとっては、

簡単にできる身近なリハビリであるし、生活を感じられる作業です。

 

そして、ランドロイドだけでなく、

さまざまな家事をロボットで自動化する動きがみられます。

 

生活をロボットに任せることは便利ですが、

安易に使用していると大切なものを失ってしまう

リスクを考えて行動したいものです。

知的障害を持つ人はなぜ社会的差別を受けやすいのか、兵庫・檻監禁の事件を通して考えてみた

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はじめに

 

精神障害を持つ人への差別は世界各地で問題になっていて、

日本でも頻繁にニュースで取り上げられます。

 

そんな中、2018年4月に兵庫県三田市で知的障害のある長男(42)を

檻(おり)に閉じ込めたとして、父親(73)が逮捕される事件が起きました。

 

この事件は行政による対応の悪さだけでなく、

精神異常者を隔離し、日常生活から排除され、自由に生きる権利を奪うことが

平然と行われている所にも大きな問題があります。

 

ある意味、相模原市の障害者施設で起こった殺人事件と同じぐらい重大なニュースです。

 

今回はこの事件から、精神障害を持つ人は

なぜ社会的差別を受けやすいのか考えてみました。

 

一畳の広さしかない檻に25年以上も閉じ込められていた

この事件は、妻が病院を退院して自宅療養の相談をした時、

父親の方から長男を檻に閉じ込めていると職員に伝えたことで発覚しました。

 

きっかけは三田市に転居してきた1990年代前半から長男が暴れたり叫んだりするようになったからです。

 

近所から何度も苦情を受けため、家族だけでは手に負えず、

プレハブを建てて一人で過ごさせます。

 

それでも壁をたたいて窓ガラスを割ることもあり、

壁に手が届かないようにとプレハブの中央に檻を作りました。

 

その檻は一畳の広さ、高さ1mしかなく、

約25年以上閉じ込められたままでした。

 

市の対応は適切だったのか

この事件では、

行政のサポートが不十分だったと指摘されています。

 

実は長男は障害者手帳を取得しており

父親を含め家族は20年以上前に市に相談何度もしていました。

しかし、福祉サービスは受けていませんでした。

 

本来、障害者手帳をもっているのだから、

サービスは使っていなくても

市は定期的に様子を見るべきだったという声もあります。

 

また、市は監禁状態を確認した後も

長男を福祉施設に入所させるまで4日間、

檻に閉じ込めたままで、

警察に通報するのも、その約一か月後だったそうです。

 

本当の問題点は「精神障がい者への理解の無さ」

 

確かに、市の対応は悪かったですが、

近隣の理解がなかったことも大きな問題です

 

そもそも長男を閉じ込める動機は

近所に迷惑がかからないようにするためでした。

 

自宅で監禁と聞くと、逮捕された父親のモラル不足が原因と思われがちです。

 

しかし、保護されたとき、長男は「健康」と診断されていますので、この監禁行為は父親の虐待とは考えにくいです。

 

むしろ、近隣などの周りの人による偏見と差別が父親を追い込み、隔離という結果を招いたと思われます。

 

もし、近隣に障害者への理解と知識があれば、家族も苦しむことなく、

長男を助けることができたかもしれません。

 

この事件に見える「障がい者を排除したい気持ち」

 

市や近隣の不寛容な対応には、

「精神異常者は厄介だから排除したい」

という気持ちがあるのではないでしょうか。

 

かつて、相模原の障害者施設で問題になった「優性思想」が、

この事件でもはっきり表れているように感じます。

 

事件現場の近くに住む40代女性は

「数年前から自宅の植木の手入れがされなくなり、生活感が感じられなくなっていた。息子さん(長男)がいたことは知らなかった

と話しています。

 

この長男を知らない発言は、近所の不満が契機で隔離されたのに、

そのまま周りの人から忘れ去られるという

「死」と同じような扱いを物語っています。

 

さらに恐ろしいことに、

私たちの多くはメディアも含めて、

この事件にある社会的な排除には関心がありません。 

 

一人一人がその問題に向き合い、

反省する態度がない限り、また同じような事件が起きるかと不安に感じます。

 

もし、この問題を本質的に知りたい人は

『異常の構造』を読んでみるといいですよ。

すごく役に立ちますよ。

 

「インスタ映え」から分析する、見た目の良い写真だけを求める社会

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流行語「インスタ映え」とは

 

2017年の流行語大賞に輝いた「インスタ映え」

 

東京都内を中心に、インスタ映えを狙ったスポットや

食べ物などが話題になりました。

 

ちなみに「インスタ」とは、Instagram(インスタグラム)の略で、

インターネット上で、写真、動画を共有する無料のアプリケーションです。

 

また、投稿した写真・動画に他のユーザーが

「いいね!」と評価するシステムが特徴で、

一般人だけでなく、海外のセレブや芸能人も多く利用しています。

 

そのインスタグラムで、多くの人を引きつける

”見映え”が良いスポットや食べ物などを

俗に「インスタ映え」と呼んでいます。

 

インスタ映えはどんどん広がっているけれど・・・

 

この流行はどんどん広がりを見せ、

2017年3月時点でインスタグラムにおける

国内のユーザー数は1294万人にも上っています。

 

また、綺麗な写真のために、わざと派手なポーズをしたり、

スマホのアプリを使って写真を加工する

「盛り」という言葉も出てきました。

 

さらに、ビジネス業界にも大きな影響を与え、

インスタ映え用の商品も出ています。

 

例えば、2017年に発売された文房具『レフ板の付いたリングノート』は

ヒット商品になりました。

 

しかし、このインスタ映えの流行には

ある問題が隠れています。

 

それは

インスタ映えの投稿を続けないと、

他のユーザーとの交流が絶えてしまうことです。

 

いわば、インスタ映えの共有によって、大きなコミュニティーが

形成され、それを維持するためにユーザーは

見た目の良い写真・動画の投稿を続けています。

 

この仲間外れにされたくないという気持ちが

プレッシャーとして表れている気がします。

 

インスタ映えにみえる『美しい⇔醜い』という見方

 

もう一つ問題点があります。

 

それは、インスタ映えを意識するあまり、

「見た目の美しさ」だけしか、写真に求めていない所です。

 

写真って、見た目だけでなく、

記念や思い出を残すことにも意味があるはず・・・

 

しかし、そんな見映えの無い写真には、

価値を求めなくなっている気がするのです。

 

言わば、インスタ映えの流行は、物事を「美しい」と「醜い」で判断し、

醜いものを排除したい人々の気持ちを反映しているのではないでしょうか。

 

幸い、現在、インスタ映えに疲れる人たちが増え、

このブームは終わりを見せているようです。

参考記事: .jp/articles/-/162909

 

しかし、ブームが去っても、美しいことを称賛し、

醜いものが排除したい気持ちは残ったままです。

 

もはや、インスタ映えというものはただの流行として

捉えるのではなく、その背後にある「美しい⇔醜い」

という見方を反省した方がいいのではないでしょうか。

2020年東京オリンピックは、社会福祉士が活躍する絶好のチャンスじゃないのかなぁ。

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はじめに

 

2020年の

東京オリンピック・パラリンピック

が迫ってきました。

 

この大会を成功させるには、

多くの人の支援が必要であり、

ボランティアは欠かせません。

 

現在、東京都と組織委員会が中心となり、

東京オリンピック・パラリンピックに

向けて、9万人以上のボランティアを

動員しようと計画中です。

 

そして、

競技会場、選手村などのサポートや

国内外からの旅行者への案内ボランティアを

募っています。

 

あまり知られていませんが、

ボランティア事業って

社会福祉士の得意分野です。

 

だから、2020年東京五輪の

ボランティア事業が

世界中に社会福祉士」

をアピールする

絶好のチャンスのはず。

 

そんな視点で東京五輪を考えていきます。

 

社会福祉士とボランティア事業の関係

社会福祉士は相談職、心理カウンセラーのイメージがありますが、

ボランティア事業も対象としています。

 

そもそも社会福祉士のルーツは

イギリスのCOS(慈善組織協会)にあります。

 

19世紀前後、COSは個々で行っていたボランティア活動をまとめて、

広く支援がいくように調整をしたり、

ボランティア育成も行ったりしていました。

 

つまり、ボランティア事業の司令塔だったんです。

 

やがてCOSの活動がソーシャルワークとして発展し、

現在、社会福祉士もその理論を学び、職場で実践をしています。

 

詳細は以下の記事で書いてあります。ご参考まで。 

www.social-walfare.work

 

社会福祉士も東京五輪のボランティアに関わるべき

 

社会福祉士はボランティア事業から発展してきた歴史があり、

今も「ボランティアの司令塔」としての技術を学校で

習得しています。

 

2020年の東京五輪ボランティア事業は

まさに社会福祉士の力を発揮できる絶好のチャンスなんです。

 

東京都と組織委員会が9万人のボランティアを

動員するのはとても大変なことなので、

日本社会福祉士会が率先して、協力を提案してもいいかと思います。

 

あと、社会福祉士には「社会正義」という価値観があり、

平和を象徴するオリンピックにとてもマッチしています。

 

特に障がい者を対象にしたパラリンピックは

障がい者施設で働く社会福祉士と連携することで、

選手に最高のパフォーマンスを発揮できる環境を

支援できるはずです。

 

やっぱり、社会福祉士はもっと東京五輪に関わるべきですよ!

 

さいごに

社会福祉士は「ボランティアの司令塔」という役割もあり、

東京五輪ボランティア事業でも発揮できるはずです。

 

そして、社会福祉士の「社会正義」という価値観が

平和を象徴するオリンピックと相性は良いので、

もっと社会福祉士はボランティア事業に

興味を持ってもいいのではないでしょうか。

 

そうすれば、知名度の低い「社会福祉士」を世界中に知ってもらう

いい機会になるはずです。

 

ちなみに、2019年夏から東京五輪のボランティアを募集

するようですよ。興味がある方はこちら↓

tokyo2020.jp

 

塗り薬・ヒルドイド違法使用が頻発した原因は、医療保険で得したい人が多いから!

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塗り薬・ヒルドイドが医療以外に使われている・・・

塗り薬として使われる「ヒルドイド」の違法使用が問題になっています。

 

ヒルドイドは簡単に説明すると、

乾燥肌で皮膚のかゆみがある人に使うぬり薬です。

皮膚の保湿とかゆみ止めが主な効果になります。

 

このヒルドイドが「肌トラブルに効く」と口コミで広がり、

美容のために医療保険で安く手に入れようとする女性が増えました。

 

でも、美容のために医療保険を利用するのは違法です。

しかも、全国で年間「93億円」が美容目的でヒルドイドが使われているとのこと。

 

なんでこんな問題が起きたのでしょうか。

 

それは、

みんな医療保険で得したいと思う気持ちが強かったから

です。

 

でも、医療保険を正しく理解せず、単に薬が安くなる発想

が広まったら、ヒルドイドだけでなく、

医療保険自体が危機に陥りますよ・・・

 

医療保険を「お得な制度」と勘違いしている

みなさん医療保険って、

保険料払えば、薬が1~3割の値段で手に入ることは

ご存知だと思います。 

 

でも、あるルールを守らないと医療保険は使えません。

 

医療保険には「相互扶助」の精神があり、

簡単にいうとみんなで少額の保険料を集めて、

本当に困っている人に保障をする原則があります。

 

たとえ、保険料を払っているのに、薬を処方してなくても、

そのお金が本当に薬を必要とする人に使われているので、

誰かの役に立っているんです。

 

だから、美容目的で使うのは私用なことなので、

違法とされています。

 

もはや相互扶助の精神がなくなっている

 

1961年に医療保険がスタートしましたが、

その時代は薬が欲しくても、高くて買えなかったから

みんなこの保険ができて、ありがたみを感じていたと思います。

 

その当時はみんな「相互扶助」の精神が必ずあったはずです。

 

ところが、いつの間にかその「ありがたみ」が消えて、

「薬を安く手に入れること」が、

当たり前の権利だと思うようになったのでしょう。

 

「自分だけが良ければいい」という考えが強くなって、

美容目的で医療保険を使って、ヒルドイドを購入する人が増えたのが、

この問題の本質になります。

 

まとめ

塗り薬・ヒルドイド違法使用が頻発したのは

医療保険の相互扶助を知らない人が増え、

「保険料を払えば、薬が安くなる」と思う人たちが

増えてきたからです。

 

もちろん、好き勝手に医療保険で薬を購入すれば、

制度は破たんしますので、絶対やってはいけません。

 

ヒルドイドだけの処方を保険適用外にするかどうか

議論が交わされていますが、

わたしは「規制」よりも、医療保険の助け合いの精神を

もっと多くの人に伝えた方がいいと思います。

 

厚生省や健康保険組合などの方は、取り締まりだけでなく、

相互扶助を教育する視点も踏まえて議論して欲しいものですね。

国家資格・公認心理師が始まったけど、社会福祉士とかぶっている気が・・・

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公認心理師って知ってますか?

 

みなさん国家資格の公認心理師って、ご存知でしょうか。

 

平成27年に公認心理師法が成立し、

平成29年に施行され,日本初の心理職の国家資格として、

「公認心理師」制度が始まり、平成30年から試験が始まります。

 

しかし、

公認心理師を調べると、同じく国家資格である「社会福祉士」

と共通点が多く、本当に必要なのかと感じてしまいました。

 

今回は公認心理師について、お話していきます。

 

公認心理師とは

国家試験を行う「一般財団法人日本心理研修センター」では

公認心理師について以下のように述べています。

心理学に関する専門的知識及び技術をもって,心理に関する支援を要する方の心理状態を観察・分析し,関係する多職種との連携を図りながら支援を要する方やその関係者に対して助言・指導その他の心理に関する援助を行い,国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的としています。

参考URL:Q&A | 公認心理師資格サイト

 

つまり、心理学をベースにして、

関係する多職種との連携をしながら、

心理に関する援助を行うのが公認心理師です。

 

そして、公認心理師は、文部科学省と厚生労働省との共同主体で、

制度全体をとりまとめています。 

 

あれ!?社会福祉士とあまりかわらないんじゃないの。

ここから本題です。

公認心理師と社会福祉士との共通点について考えていきます。

 

共通点その1、心理学を学ぶこと。

 

公認心理師で学ぶ科目の大半は心理学が占めていますが、

社会福祉士でも心理学は国家試験の出題範囲であり、

専門学校で基礎程度は習得しています。

 

また、社会福祉士の仕事は相談業務が主体なので、

資格習得後も「心理学」を学びながら、

実践で極めていくことも十分にできます。

 

共通点その2、関係する多職種との連携

 

公認心理師は「関係する多職種との連携をして」援助するとありますが、

この連携は社会福祉士においても、大切な要素です。

 

というか、公認心理師がソーシャルワークの範囲に入ってきているんです。

 

公認心理師の連携による援助が、今まで

その連携をウリにして専門性を発揮していた社会福祉士と内容が重なり、

社会福祉士の存在そのものが危うくなります。

 

これから、相談職になりたい人も

「公認心理師」と「社会福祉士」の区別がつかないので、

どっちの国家資格をとっていいのか迷う可能性もでてくるでしょう。

 

ぶっちゃけ、ただでさえ知名度の低い社会福祉士に、

公認心理師が登場することはあまり好ましくないですね。

 

さいごに

 

今回は公認心理師について取り上げてみました。

 

さっきあげた以外にも、両社とも名称独占の資格であり、

仕事の分野も保健医療、福祉、教育などかぶるところが

多くあり、わたしは全く必要性を感じません。

 

また、心理カウンセラーの民間資格「臨床心理士」というのもあり、

そこそこ知名度があるので、公認心理師の登場で

受験者が混乱しなければいいなぁと願います。

 

2018年の介護報酬改定について、簡単に解説してみた。

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はじめに

 

そろそろ2018年介護報酬改定の時期がせまっています。

 

これは介護業界にとって、

職員の給料や事業所の運営に大きく影響を与える

すごく大切なことなんです。

 

2017年は介護報酬の議論が色々ありましたが、

マイナス改定の可能性が高いようです。

 

今回は介護報酬改定について、

これまでの推移を踏まえて、簡単に解説をします。

 

介護報酬って何、あと何年ごとに決まるの?

介護報酬とは、簡単にいうと介護サービスの料金を決めることです。

本来、サービス業って、企業側が自由に値段を決めることができますが、

介護は税金が使われているので、国が料金を決めています

 

その介護サービス料金の見直しを「介護報酬改定」と呼び、

3年ごとに料金の変更が行われています。

ちなみに、2018年がその時期に当たります。

 

介護報酬は国の財政状況が厳しければ、厳しいほど

料金を下げる可能性が大です。

また、料金設定が下げられると、介護施設の売り上げも落ち

職員の給料や最悪、倒産につながることもあります。

  

2015年の介護報酬改定では-2,27%と大きく下げられ、

わたしの小規模デイサービスは一年間で数百万の売り上げダウン。

正社員1人分雇えるほどの利益を失いました。

 

たった1%の変動でも大きなインパクトがあり、

2015年のマイナス改定で、多くの小規模デイサービス施設が

倒産することもありました・・・

だからこそ、介護業界は2018年の改定に注目を集めています。

 

2018年の介護報酬は引き下げられる可能性大

残念ながら、2018年の介護報酬は引き下げられる可能性は高いです。

 

その理由は2015年に財務省が発表した「財政健全化計画」にあります。

参考URL:財政健全化計画等に関する建議(平成27年6月1日) : 財務省

その中で、2020年に向けて増え続ける年金・医療・介護への費用が、

年間5000億円程度の伸びで収まるように目標を掲げています。

 

また具体的な取り組みの1つとして、

介護報酬のマイナス改定があげられています・・・

でも、これはただの通過点です。

 

実は、2060年まで年金・医療・介護への費用は増加しつづけるといわれており、

2018年の改定以降も苦しい状況が続くと見込まれています。

 

財政が厳しいと規制も強くなり、

福祉サービスのクオリティが下がるのは必須です。 

介護業界はもっと先を見据えた対策を考えていく必要があります。

 

最後に

 

2018年の介護報酬改定では

・機能訓練、リハビリを重点に置き、高齢者の機能改善をして介護費を減らす。

・ロボットやICT(情報技術)をつかって、仕事を効率化する。

この2つの流れがあり、それに合ったボーナス加算を検討しています。

 

また、自立支援を行っていない事業所には介護報酬が減らされる

ペナルティも検討中です。

 

どちらにせよ、社会保障費削減の大きな流れがあり、

財政が改善しない限り、介護業界は悪化の一途をたどっていきます。

 

3年に1度、国が介護サービス料金を決めてしまう「介護報酬」のありかたを

考え直した方がいいのではないでしょうか。

神奈川・大和市が、認知症のある市民がおこした損害賠償をまかなうスゴイ保険制度を作ったよ!

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はじめに

 

2017年に神奈川・大和市で、認知症の人が

徘徊などの事故で発生した損害賠償を

公費でまかなう保険制度を作りました。

 

これは全国で初めてのことであり、

これから高齢化で認知症が増加する日本に

とって、もっとも注目すべきことなんです!

 

なので、今回はその賠償保険について、

解説していきます。

 

大和市がはじめた賠償保険について

大和市は徘徊の恐れがある認知症の市民を守るために、

福祉施設や警察など連携をした

「はいかい高齢者等SOSネットワーク」という事業があります。 

 

認知症の市民がそのネットワークに登録し、

その登録情報を関連機関と共有することで、

登録者が徘徊で行方不明になったときの

早期発見・保護を担っています。

 

そして、2017年にそのネットワークに登録した

認知症の方相手にけがを負わせたり、

物を壊したりした時などで発生した

損害賠償」を保険でまかなう制度を全国初で創設しました。

 

そして、支払われる賠償金は

最大3億円まで、その保険料は

大和市から支出されることが

決まっています。

  

きっかけは2007年に愛知・神戸市で起きた踏切事故

 

この保険ができた背景には 

2007年に愛知県神戸市で、認知症の男性(91歳)が自宅を飛び出し、

徘徊中、電車にはねられて死亡した事件が大きく関係しています。

 

JR東海は、この事故で発生した振り替え輸送など約720万円の損害賠償を

その妻と横浜市に住む息子に対して、要求する裁判を起こしました。

 

妻と息子2人とも最高裁で「賠償責任はない」とされ、

JR東海がほとんどの負債を背負う結果になりました。

 

しかし、大和市のような保険制度があれば、

事故が起きても保証されるので、

被害者から損害賠償をめぐるトラブルはなくなるでしょうね。

 

詳しい内容は以下の記事で紹介しています。参考まで。 

www.social-walfare.work

 

介護者に最大のメリットがある!

認知症介護って、自宅に閉じ込めずに

人間らしく過ごせることが大切にされています。

 

その実現には家族の協力が不可欠ですが、

民法における「監督義務」が大きな壁となっていました。

 

認知症のように責任能力がない人が相手に損害を与えた場合、

その人には罪は問われないかわりに、

その親、家族監督義務者」として、

罪を問われることがあるんです。

 

だから、介護する側は積極的に関わるほど、

監督義務者になるリスクが高まるので、

安心して介護ができない現状がありました。 

 

結局、外で事故を起こさないために、カギを掛けて認知症の人を

閉じ込めるようになってしまうんですね。

介護施設でもよくあります・・・

理想の認知症介護と逆の方向に進んでいますよね。

 

今回紹介した大和市の保険制度は、たとえ「監督義務者」になり

損害賠償を支払うことになっても保証されるので、

介護者は、徘徊を心配せずに介護ができるようになります。

 

これこそ、介護者にとって最大のメリットなんです!

 

このような大和市のような動きが全国に広がっていけば、

もっと認知症介護が良くなっていくでしょうね。楽しみです。